sage de cret

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2010.04.19

Emblem

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ブランドディレクター千田の生の声をインタビュー形式でお届けする「・・・」。
ブランドの背景に光を当てものづくりに迫ります
今回はマークやエンブレムについて話を聞きます。


《ちょっとした遊び》

──S/Sシーズンアイテムで、ワッペンや刺繍などのマークがデザインとして効いているものがありますね。

千田(以下C):ブランドのマークというのはレディースではそんなに見ないですけど、メンズではかなり多くのブランドが持っていますよね、特に海外のインターナショナルブランド。

──例えば、ラコステやラルフのマークは、誰が見てもすぐにわかりますね。

C:うちではすべての商品に必ず同じものを入れるようなことはしないで、ちょっと遊びとしてワンポイント入れたいときに使います。
春のコレクションで使っているのはは2種類かな。
軍の階級章を模した「S」マークのワッペンと、カドゥケウスの杖と呼ばれる紋章です。


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──2つとも、これまでにもよく登場するモチーフですよね。

C:カドゥケウスは昨年はちょっと登場回数が少なかったかもしれません。


《アクセント》

──昔からずっとあるモチーフですか。

C:どちらももう結構前から使っていますね。
階級章モチーフのもの、これはブランド名の頭文字である「S」を米陸軍のサージャントの階級章に模したものです。
今はワッペンで使うことが多いですが、一番最初にこのモチーフを使ったときは確かプリントで入れたと思います。


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C:その時はまだ「S」にはしていなくて、山の上下も逆の米海軍の3本線をプリントで袖につけました。
いま手元に残っているサンプルは黄色い地にネイビーのプリントのものですが、全体的にはもっと目立たないように地色と同色でプリントして、隠れたアクセントにして使っていました。

──そこから進化して今のワッペンになったんですね。

C:今はフェルトにモールで刺繍したもので、色はゴールドとシルバーの2種類です。
商品自体の色に合わせて使い分けています。

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──ジャケットに使われることが多いですよね。

C:モチーフが軍の階級章ですから、やはりミリタリーテイストのアウターが多いですね。
一方、カドゥケウスは主にシャツやカットソーに刺繍で入れています。
あとはアクセサリーでも使っています。

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──このカドゥケウスのマークは、確か何かの神様の紋章でしたよね。

C:ギリシャ神話のヘルメス神が持つ杖に由来するモチーフで、ヘルメス神の翼と2匹の蛇、そして杖を組み合わせた紋章です。
平和・医術・商業などを象徴するモチーフです。


《目を引く部分独特の難しさ》

──これもずいぶん前から使われている印象ですが。

C:階級章よりはこっちの方が後から使うようになったかな。
でもこれももうけっこう使っていますね。

──こういった何度も長いこと使われるマークを決めるのは時間がかかったりしますか。

C:結構悩みますよ。
目を引く部分なので独特の難しさがあります。
わかりやすさだけで考えるなら、ただの「S」をそのまま使うことも考えましたし、よそのブランドを見てみると動物をモチーフにしているのもよくありますよね。
でも、うちの空気感ではないですからね。

──sage de cret で動物ってなかなか想像がつかないですね。

C:うちのブランドではそこまで大きな扱いはしていないですけど、商品をデザインする企画サイドからすると、ブランドにマークがあるかどうかってなかなか大きな違いなんですよ。

──それひとつで署名にもアクセントにもなってくれますよね。

C:うちではあまり主役になり過ぎないように、飽く迄ちょっとしたアクセントとして効いてくれるような使い方、いわば「隠れマーク」的な役割に使います。


《Costume Penal》

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──ここ何年かで目にするものは、階級章かカドゥケウスだけだと思いますが、他にもブランドのマークってありますか。

C:ブランドのマークではないですが、ワンポイントで「Costume Penal(コスチューム・ペナル)」というプリントを入れていたシリーズがあります。
フランス語で「囚人服」という意味です。
と言っても実際に囚人服をデザインしていたわけではなくて、ストライプの商品に遊びでさらっと入れてアクセントにしていました。
ストライプ以外ではインディゴの無地素材にも使っていたかな。
ブルー系の素材に同色でプリントで。
デザインはフランスの知人に書いてもらったものを元にしています。


《ケアレーベル》

C:プリントで思い出しましたが、以前に長野の「trefle」というセレクトショップからオープン記念のTシャツの依頼を受けて、ケアレーベル、いわゆ る衣類の裏側に必ずつけられる洗濯表示ですね、これをモチーフに遊んだものを作ったことがあります。

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──これ、おかしいですね!全然見たことなかったです。こんなこともされていたんですね。

C:ケアレーベルつながりだと、今季夏のコレクションのカットソーで、ブランドネームとケアレーベルを直接ボディの内面にプリントしたアイテムが登場しま す。

──楽しみですね。

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《幻のカモフラージュ》

C:あとはマークと言うことだと、幻のカモフラージュがあります。
米軍のカモフラージュパターンにドットを使ったものがあるのですが、このドットをもじって超有名なネズミのキャラクターのシルエットにしたデザインを作ったことがあります。

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L: sage de cret オリジナル / R: 米軍のドットカモフラージュ

──これ、ミッキーですよね!?

C:当時社内では「ミッキーカモ」と呼ばれていました。
ただドットの位置がちょっと変わっただけなんですけれどね。

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──これは思わずにやりとしてしまいますね。

C:言われないと気づかないと思うんです。
ちょっとした遊びとでも言いましょうか。
デザイン案を起こしている過程で、もっとリアルなシルエットを使ってみたものがあったのですが、これが妙に本物のネズミ、動物のネズミっぽく見えちゃってボツにしたんですよ。
結構気持ち悪くて。
最終的にこのシンプルなドットの組み合わせに落ち着きました。

──実際に販売されたんですか。

C:いや、販売はしませんでした。
なので「幻」のカモフラージュです。
大手のセレクトショップも怖がって手を出せませんでしたし、法的にもグレーなところが残っていましたので。
ただ、一方では製品化を熱望してくれたセレクトショップもあって、今思い返してもなかなか印象的なモチーフですよ、これは。

──最近のコレクションと比べると、色使いの印象がちょっと違いますね。

C:そうですね、たぶん今この柄をデザインすならここまで派手にはしないで、同色の組み合わせなどでもっとシックに遊びますね。


《ちょっとしたヌキになってくれれば》

──sage de cret は全体的にマークの印象はそんなに強くないと思っていましたが、見返してみると結構色々ありますね。

C:マークにあまり強い役割を持たせない様にしているからかもしれません。
一般的な場合、マークはどうしても「顔」となる強い役割をしていますが、うちではもう少し違った、ちょっとしたヌキになってくれるようにデザインしています。
主張が変に強くならない様に抑えて、全体の雰囲気を引き締めて空気感を調和してくれるような、そんな役割です。
だから階級章であることや、カドゥケウスが神様であること、「囚人服」という言葉自体には強いメッセージがある訳ではなく、ネタに気づいてこっそり楽しんでもらえる程度に、控え目にしています。
ちょっとした遊びを楽しんでもらえたらうれしいですね。


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About〈・・・〉

ディレクター・千田仁寿が、〈CHENTO OTTO〉〈DEZART〉を経て2001年より始めた。
〈サージュデクレ〉とは、「賢明な」を意味する仏語の「sage(サージュ)」と「布告」という意味の「decret(デクレ)」を掛け合わせた造語。
ステッチやジッパー、ラインやフォルム、染めや素材、縫製に至る細部にまで、一枚の洋服における様々な役割について、考え抜かれたワードローブを提案している。
また、ブランドの基本概念としてワーク、ミリタリー、トラディショナルこそメンズウエアのベースであると主張。洋服の歴史的な背景や伝統は重んじながらも、既成概念に捕われ過ぎないデザインと、洗練されたギミックを上手く表現している。
そのため、高いファッション性を備えながら、どこかリアリティを感じさせるブランドに仕上がっている。ここ「・・・」では千田の声を通してブランドの世界を紹介します。