ブランドの背景にスポットを当て、ものづくりの秘密に迫る「・・・」。今回は4月に東京と大阪のbeams+で行われた sage de cret の受注会についてディレクター千田氏に話を聞きます。
──恒例となっている beams+ での受注会も今回で5回目ですね。
千田(以下C):初回が2005年。
大阪の Beams+ ではじめて開催でしたね。
この年と翌年はsage de caret 単独での受注会でした。
──いまは「SUNNY SPORTS」「LOOPWHEELER」との合同になっていますよね。
C:3ブランド合同になったのが3回目の2007年からで、この年は大先輩のブランド「TUBE」と「LOOPWHEELER」との合同開催でした。
ちょうど Beams+ 渋谷店がオープンした年で「東京でもやりましょう」と提案をいただき、この回から東京と大阪の2都市開催になりました。
4回目となる昨年に「SUNNY SPORTS」「LOOPWHEELER」と sage de cret の顔ぶれになり、今年もこの3ブランドです。
──初回の話をうかがえますか。
C:それまでは Beams+ では、例えば「FILSON」などインポートブランドの受注会はやっていたけど、ドメスティックブランドの受注会は sage de cret が初めてだったそうです。
──どういった経緯で
C:Beams+ で sage de cret の取り扱いが始まったのが2003年からで、以前の「・・・」でも話した Beams+ 限定ライン「sage de cret TRAJET EXCLUSIVE BY BEAMS PLUS」がちょうど2004年からスタートし、より深く一緒にやっていきましょうという話もしていて、そこから受注会の企画が立ち上がりました。
その頃はちょうど Beams+ での取り扱いアイテム数を集約して、その分別注商品を中心により深く展開していくようになっていった時期で、お客様からは他の商品も見たいという声をいただいていたこともあり、それも後押しになってくれたように記憶してますね。
──雰囲気はどんな感じでしたか
C:大阪だけでやった最初の年は、打ち合わせをしに大阪へは行ったけど、僕自身は期間中に会場には立たず、結果はまずまずの評価というところでした。
会場も、他の商品の並ぶ中、エリアを区切ったりもせず、平場の一角でやったのは覚えています。
Beams+ も僕も、まだまだ手探りの中の初開催でした。
僕が会場に立ったのは2回目からで、この頃には少しずつ Beams+ のお客様にもファンになっていただけ始めてました。
今ではブランドの顔とっなているアイテムのひとつ、ミリタリーパンツの評価がもう認知されていて。
その時の受注会に、復刻のフライトパンツがあったことも手伝ってか、一定の成功を納めることができました。
──3回目から3ブランド、そしてこの回からは渋谷でも。
C:渋谷でやった3回目の頃には、まだまだ雑誌での露出も今ほど大きくなく、sage de cretのことを知らないお客様も多くいらしたのですが、それでも年々お客様がブランドを理解してくれている印象がありました。
いま思い返しても、最初はどう説明したものか手探りでしたし、Beams+ のスタッフも一生懸命模索しながら運営してくれました。
──作り手としてお客様と接するのはどんな気持ちなんですか。
C:うれしいですよ。お客様もうれしそうですし。
普段、ショップのバイヤーと接する機会は多いのですが、一般の方に話すとなるとまた全然違います。
最初は戸惑いました。
バイヤーとお客様では商品に対しての見方も違いますから、専門用語は避けわかりやすい言葉を使うことを心がけたり、あとは、なるべく多くのことをお客様と話せるようにしています。
──説明の際にはどんな話をされますか。
自分がどんなことを考えて作ったか、ですね。
自分は販売員ではないし、作っている側の人間なので、だからこそできる説明があると思っています。
どんな思いで作っているかという部分です。
うちの商品はディティールや素材、加工など、パッと見ただけでは気づきにくいところもすごく大事にこだわってデザインしています。
商品が、一見シンプルでベーシックなものが多いので、こだわって作っている部分が分かりにくい。
このウェブサイトでも "PRODUCTS" や "・・・" で、ある程度その思いは知ってもらうことはできるけど、実際に商品に触れてもらい、試着してもらった上で話せるのとではまるで違う。
売るためのトーク、商品を良く見せるための営業トークでなく、思いを知ってもらい、それがsage de cret を好きになってもらうきっかけになればいいですよね。
商品に対しての僕の考え方を知ってもらうことで、その後、別の機会にも、そういう目で見てもらえる。
言い換えれば、見方、視点を知ってもらえることになるのかな。
パッと見の表面から入る部分と、表からは見えない逆からのこだわりの両方を対比して見てもらえる。
素材や加工法について、ステッチワークについて、どうしてこの糸を使っているかや、なぜあえてポケットを取り除いたか、縫い糸のチョイスひとつにも気を使っていることなど。
──作った千田さんでないと、説明できないことが多いですね。
C:見ただけでも、着ただけでも気づきにくい、でも sage de cret が一番大事にしている部分、どれだけ思い入れをもって作っているか、そんなことを接客時に伝えたい。
それと、受注会で用意するサンプルは基本的にLサイズだけなので、お客様に適したサイズをご案内しなければなりません。各サイズがある訳ではないので、作り手としてご説明しています。
──あとは、1シーズンのアイテムを一挙に見られること自体も貴重ですよね。
現状では、Beams+ で取り扱うアイテムは、別注商品を中心に厳選して絞り込んだものとなっているので、お客様がラインナップを一同に見れて、詳しく知れるのも貴重な機会だと思います。
フルラインをご覧になってそのボリュームに驚かれるお客様も多く、「S/Sのラインもぜひ見たい」という声もいただきます。
フルラインを見てもらえることは、ブランドの世界観を感じていただける滅多にないチャンスです。
僕としてもそれを見てほしいという思いは強いです。
お客様にお伝えできることがうれしいですし、お客様の喜んでいただいている表情は力になります。
自分が大事にしていることを共感してもらえるのは、やはり単純にうれしい。
──本当に、作り手とお客様のコミュニケーションですね。
C:一方で、Beams+ のスタッフの接客もすごく丁寧で。
日頃から勉強会を開いて、うちの商品のこともすごくしっかりとわかっていてくれます。
プロの仕事だという印象を強く感じます。
それと、受注会には他の Beams 店舗から、わざわざ見にきてくれるスタッフも多くて、本当にファッションを好きな人が集まっているんだと思います。
──千田さんが受注会から受ける影響もあったりしますか。
C:僕にとっては、お客様と話せる貴重な機会です。
お客様からのエネルギーを年々強く感じます。
毎回足を運んでくださるお客様とは顔見知りになっていきます。
商品については、ラインナップに対してのお客様の反応が興味深いですね。
多くのお客様が手を伸ばされる人気商品が、自然と出てきます。
反対に人気のないものも。
作った本人を目の前にして直接商品を悪く言うお客様は、まあ当然いないのですが、多くのご注文をいただけなかった商品というのは、結果的に厳しい評価なんだなと感じる側面もあります。
僕が普段商品を見てもらうのはシーズン毎の展示会で、相手は全国のセレクトショップ、専門店のバイヤーになります。
バイヤーは仕事としてアイテムを見ますので、それが商品として売れるかどうかでジャッジをしますが、お客様は純粋に好きかそうでないかで注文を決めます。
──お客様が直接好き嫌いを口に出さなくても、結果としてリアルに評価は出てきますね。今回どんなものが人気でしたか。
C:やはり Beams+ 10周年の記念企画でもある、10種類の生地から選べるミリタリーパンツの個人オーダー。
あとはまた"PRODUCTS"でも順にご紹介していきますよ。お楽しみにお待ちください。
──楽しみですね。今回もたくさんの注文をいただいたと聞いています。
C:いまのような景気で、ニュースなどでも話題になっているとおりファッション業界もやはり厳しい、価値のあるものでないと買ってもらえないし、見てももらえない状況となっています。
そんな状況の中、今回も非常に多くの方にご来場いただけたことは、僕らが作っている商品に、もっと大きく言えばブランドに対して評価をいただけたことでもあり、とてもうれしいです。
僕らとしては、お客様に商品を通して思いを話している以上、それを翻してお客様を裏切ることはできません。
口に出したからには、変えてはいけないことですし、やり通さなくてはいけません。
これはものを作っていく上で強い力となってくれます。
最後に今回大阪、東京の会場に来ていただいたお客様には、ありがとうございましたとお伝えしたいですね。
あとは beams+のスタッフにも。中田さん、土井さんをはじめ多くのスタッフにいつもご協力いただいています。
sage de cret のことを大事にしてもらい、今回も受注会のスケジュールなどでも融通を利かせてもらって。
この場を借りて改めてお礼を申し上げます。
みんな本当に服好きばかり集まって、貴重な時間も過ごさせてもらっています。