ブランドの背景にスポットを当て、ものづくりの秘密に迫る「・・・」。
今回はデザインの上でも大事なポイントとなるアクセサリーパーツ(以下ACパーツ)についてです。
──シーズン毎に新作が発表されると、デザインはもちろんなんですが、いつもついついACパーツに目がいってしまいます。デザイン上でも大事なポイントになっていると思いますが。
千田(以下C):大事な要素です。
──ひと口にACパーツと言ってもいろいろありますが、真っ先に思いつくのはボタンですね。
C:ボタンで特徴的なものを挙げると、ミリタリーモチーフのドットボタンや、足付きのナットボタン。
これはどちらもオリジナルで作っています。
C:ドットボタンは、実際の軍用品でよく使われるものをモチーフにしてます。
国や時期によってもちょっとずつ違いがあって、うちで使っているのは、いろいろと古いものを探し集めたものを元にオリジナルで作ったものです。
──使っていくうちに塗装がうっすら剥げて風合いが出てくるのも面白いですよね。
C:ちょっとづつこすれて地の金属部分が見えてきて、これもドットボタンならではの楽しみです。
──ナットボタンは、素材は...
C:木の実です。南米のタグア椰子と言う椰子の実から削り出していて、成形したものは色は真っ白で、それを染めて使います。
一般的に洋服のボタンはポリエステルが多いですが、sage de cret では、シャツに使う貝ボタンにしてもそうだけど、天然の素材を使うことが多いですね。
──独特の柔らかい印象がありますね。このモチーフはどんなところからきているんですか。
C:ナットボタンはワーク系のビンテージアイテムによく見られるもので、これもいろんな古着の中からオリジナルのものをデザインしています。
──ボタン以外で sage de cret らしいACパーツというと...
C:デニムの腰の部分などにも使っているバックルも、うちのオリジナルです。
あとは、ファスナーのスライダーに付ける革の引き手かな。
C:腰にベルトがついているデザインは、まだいわゆる「ジーパン」としてファッションアイテムになる前の、デニムパンツがまだ本当にワークパンツだった頃のデザインですね。
C:ファスナーの革の引き手はバッグのファスナーからのアイデアです。
──これはどんな行程でつくられているんですか。
C:基本的には牛の皮で、その時々で手に入る素材から選んで使っています。
まず革を染めて裏を梳いてオイルをかける。
それから抜き型で抜いて最後にロゴを焼き印で入れる。
──あれは型で抜いてるんですね。型はさすがに既存のものですか。
C:いや、抜き型もオリジナルのものを作っいて、ひとつの型で何十個もを一枚の革から一気に抜きます。
だから形はずっと変わらないんだけど、染めはその時ごとになるので、時期によって色味がちょっとづつ違うんです。
これも革ならではの楽しみですね。
──sage de cret は、製品を縫い上げた後に洗いや加工をかけて、風合いを与えてあげるのもひとつの特徴ですよね。前回の「・・・」の中でも、ACパーツもいっしょに加工をかけてひとつの「もの」としてなじませるということもおっしゃってましたが。
C:縫い上げた状態のものに付けただけだと、大げさに言えば、まだ別々のものが集まっただけなのが、それを一緒に加工をかけることでひとつになってくれます。
でも、ナットボタンはデリケートで、付けてから洗いをかけると割れてしまうこともあるので、取り付ける前のボタンだけをネットに入れて、製品と一緒に洗いをかけます。
──で、あとから付けるんですね。
C:はい。
──デザインする中で、ACパーツのチョイスはどんなところから決まるんでしょうか。
C:ひとつにはカラー、あとは素材感も大事ですね。
カラーリングのアクセントとしてボディと別の色を使ったり、ACパーツの素材感で全体のニュアンスをコントロールしたり。
ファスナーでは、ちょっと柔らかい雰囲気を持たせてあげたい時に革の引き手を付けたり、ミリタリーっぽさを残したい時にはスピンドルを使ったりします。
やり過ぎになってもいけないし、もの足りなくてもダメだから、気を使いますよ。
素材感やシルエットを引き立てくれるのもACパーツですし、それとは反対に、本来のデザインと相反するものをあえて付けて、違ったテイストでバランスをとってくれるのもやはりACパーツだと思います。
──ちょっとしたことで印象もぐっと変わってきますよね。
C:全体の中では脇役かもしれないですけど、ACパーツの使い方で sage de cret らしさに結びついてくる。
言葉通り飽くまでパーツなんだけど、脇役がちゃんと集まらないといけないって意味では、ある意味ACパーツも主役と言えるかもしれません。
僕たちは、服を着ることを楽しむ人のためのワードローブをサポートできればって思いで服を作っているんだけど、言い換えれば sage de cet 自体がそういう人たちに喜んでもらえるパーツであってほしいですね。